【黒澤明監督】生きる
|
レフ・トルストイの『イワン・イリイチの死』から着想を得ています。
『イワン・イリイチの死』は、
トルストイの作品の中では比較的短く登場人物も少ない為、
二時間もあれば読めます。
市役所の課長が、自らが病に侵されており、
余命が幾ばくも無いことを知る。
その課長の六ヶ月間のお話です。
市役所を無断欠勤し、これまで貯めた金をおろして、
夜の街をさまよう。
飲み屋で偶然知り合った小説家の案内で、
パチンコ、ダンスホール、ストリップショーなどを巡る。
しかし、一時の放蕩も虚しさだけが残り、
事情を知らない家族には白い目で見られるようになる。
黒澤明は、『生きる』を制作している時に、
師匠山本嘉次郎との会話を思い出す。
寺田寅彦の随筆に『どんぐり』と言うのがあって・・・
『生きる』の名演出は、ここから生まれる。